RIMS共同研究 (公開型)

数値解析が切り開く新たな情報社会
〜データ駆動型から「富岳NEXT」〜

2025年10月8日 (水) 12:30 ~ 10月10日 (金) 16:40,京都大学 北部総合教育研究棟 益川ホール

京都大学数理解析研究所RIMS 共同研究 (公開型) として標記の公開型共同研究を開催いたします. みなさまのご参加をお待ちしております.

研究代表者:
片桐 孝洋(名古屋大学 情報基盤センター)
副代表者:
椋木 大地(名古屋大学 情報基盤センター)

共同研究の目的・内容

 計算機による数値計算は数学計算とその諸分野への応用の可能性を大きく拡げ,古典的な物理学等から生命科学・経済学等に到るまで現代科学・工学の欠かせない要素技術となっている.数値計算・計算科学は現象のモデル化とその数理的解析,モデル離散化手法の開発と解析,離散アルゴリズムの効率的な計算機 実装,および計算結果の品質保証や可視化を通じた応用へのフィードバックなどから成る.数値解析学は計算機と数学を結び,数値計算の有用性と根拠を担保する学問である.

 本研究では1966年からRIMSで開催されてきた研究集会の実績を継承しつつ,数値解析学の進展,数値計算アルゴリズムの進化,AIやデータ駆動型などポストエクサスケールコンピューティングに向けた急速な高性能計算(HPC)システムの発展・多様化を考慮し,最新の計算科学で必要とされる数学やアルゴリズム上の課題解決に向けた数値解析学とHPC学との学際研究を,今後どのように発展させていくかを問うものである.HPC分野では「富岳」NEXTに代表される新しいシステムへの対応のため,演算効率だけではなく省電力や精度保証など新しい尺度での数値計算が求められている.また演算量の削減を目指すAIの利用やデータ駆動型科学へ対応した数値計算法の確立のため,数値解析学への期待が高まっている.このような状況の中で数値解析学及び数値計算の研究者が目指すべき目標,学際的共同研究への展開に向けた議論をすることで,新たな情報社会を形成するための学問の礎を議論することを目的とする.

プログラム

各講演の講演時間は質疑応答込みで40分です.◯印は登壇者を表します.

10月8日 (水)

(12:00開場)
12:30~12:40オープニング
片桐 孝洋(名古屋大学)

セッション 1:行列

座長:相島 健助(法政大学)
12:40~13:20テンソル和の任意の特異値計算法
大橋 あすか(愛知県立大学)
13:20~14:00大規模Sylvester方程式に対するKrylov部分空間法
佐竹 祐樹(北海道大学),深谷 猛(北海道大学),曽我部 知広(名古屋大学),張 紹良(名古屋大学)
14:00~14:40テンソルネットワーク分解の基礎と機械学習への応用
横田 達也(名古屋工業大学/理化学研究所革新知能統合研究センター)
(休憩10分)

セッション 2:流体

座長:深谷 猛(北海道大学)
14:50~15:30データ同化における推定誤差解析の現状と課題
竹田 航太(名古屋大学)
15:30~16:10Logalgorithm Confortmation Representationを用いた圧縮性流体ソルバーの開発
中澤 嵩(金沢大学学術メディア創成センター/大阪大学D3センター)
16:10~16:50曲面上の流体力学に関するいくつかの数値計算
清水 雄貴(富山大学)

10月9日 (木)

(8:45開場)

セッション 3:精度 (1)

座長:渡部 善隆(九州大学)
9:00~9:40球対称解に対するベッセル関数を用いた半線形楕円型偏微分方程式の精度保証付き数値計算
宮内 洋明(筑波大学),高安 亮紀(筑波大学)
9:40~10:20三次元領域におけるNavier-Stokes 方程式の定常解と初期値問題の存在証明について:現状と展望
劉 雪峰(東京女子大学)
(休憩5分)

セッション 4:精度 (2)

座長:高安 亮紀(筑波大学)
10:25~11:05高精度固有値計算のためのレシピ
内野 佑基(理化学研究所),尾崎 克久(芝浦工業大学),寺尾 剛史(九州大学),今村 俊幸(理化学研究所),荻田 武史(早稲田大学)
11:05~11:45混合精度演算向き多段ネスト型Krylov部分空間法
鈴木 謙吾(京都大学),岩下 武史(京都大学)
(昼休憩60分)

セッション 5:数値解析 (1)

座長:柏原 崇人(東京大学)
12:45~13:251階常微分方程式に対する不連続Galerkin法のturbo post-processing
及川 一誠(筑波大学),豊島 健(筑波大学)
13:25~14:05Numerical quenching time for rescaling algorithm on nonlinear wave equations
佐々木 多希子(武蔵野大学),Maissâ Boughrara(Sorbonne Paris North University)
(休憩5分)

セッション 6:AI/機械学習

座長:田中 健一郎(東京科学大学)
14:10~14:50深層学習に現れる微分方程式の数理解析
磯部 伸(理化学研究所)
14:50~15:30Distillation of Discrete Diffusion through Dimensional Correlations
早川 知志(ソニーグループ),瀧田 雄太(Sony AI),今泉 允聡(東京大学),若木裕美(ソニーグループ),光藤祐基(ソニーグループ・Sony AI)
(休憩5分)

セッション 7:富岳NEXT (1)

座長:椋木 大地(名古屋大学)
15:35~16:15富岳Nextにおけるアプリケーションとプログラミング
中島 研吾(東京大学),三木洋平(東京大学),山崎一哉(東京大学),下川辺隆史(東京大学)
16:15~16:55中国式剰余定理とBLASを活用した行列積のエミュレーション
尾崎 克久(芝浦工業大学),内野 佑基(理化学研究所),今村 俊幸(理化学研究所)

10月10日 (金)

(8:45開場)

セッション 8:アプリケーション

座長:長山 雅晴(北海道大学)
9:00~9:40PINNを用いた断層すべりモニタリング手法の開発
加納 将行(京都大学),福嶋 陸斗(スタンフォード大学),大谷 真紀子(京都大学),平原 和朗(理化学研究所/香川大学)
9:40~10:20移流拡散方程式に対するSUPGパラメータの実験的探索
上田 祐暉(北海道大学)
(休憩5分)

セッション 9:統計/データ解析

座長:宮武 勇登(大阪大学)
10:25~11:05積分型の損失関数を利用する統計的パラメータ推定
奥野 彰文(統計数理研究所)
11:05~11:45二重周期流線トポロジー解析とその応用
宇田 智紀(富山大学),坂上 貴之(京都大学),竹内 博志(京都大学),松本 剛(京都大学),横山 知郎(埼玉大学),木村 満晃(大阪歯科大学),長井 稔(BIPROGY株式会社総合技術研究所),尾島 良司(BIPROGY株式会社総合技術研究所),坂本 啓法(BIPROGY株式会社総合技術研究所),中邨 博之(BIPROGY株式会社総合技術研究所)
(昼休憩75分)

セッション 10:数値解析 (2)

座長:松江 要(九州大学)
13:00~13:40微分可能かつ高速な非凸最適化アルゴリズム:微分方程式に基づく手法導出
牛山 寛生(東京大学),佐藤 峻(東京都立大学)
13:40~14:20ひずみ硬化弾塑性モデルに対する数値解法
松井 一徳(東京海洋大学)
14:20~15:00Space–Time有限要素法におけるDirichlet境界安定化手法:波動方程式を例に
谷口 靖憲(東京大学),柏原 崇人(東京大学),滝沢 研二(早稲田大学)
(休憩10分)

セッション 11:富岳NEXT (2)

座長:片桐 孝洋(名古屋大学)
15:10~15:50低精度のクリロフ部分空間法を用いた混合精度型反復改良法の検証
深谷 猛(北海道大学),Zhao Yingqi(北海道大学),加藤 勇太(北海道大学),Shin Sunho(北海道大学),佐竹 祐樹(北海道大学),岩下 武史(京都大学/北海道大学)
15:50~16:30量子アニーリングの行列計算への応用可能性
山本 有作(電気通信大学),寺元 倖紫(電気通信大学),工藤 周平(電気通信大学),武永 康彦(電気通信大学)
16:30~16:40クロージング
椋木 大地(名古屋大学)

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椋木 大地(名古屋大学 情報基盤センター) (mukunoki <at> cc.nagoya-u.ac.jp)